最初に映画に字幕が登場したのは、サイレント映画時代でした。サイレントというぐらいですから当然音がありません。それでは出演者達が何を言っているのか全く分かりませんので、俳優達のセリフや状況説明を、実際のストーリーと交互に出して観客に読んでもらう事にした、というのが今日的な意味での映画字幕の始まりです。
 この時代はさらに、弁士と呼ばれる人々が、画面に合わせて面白おかしくストーリーを語り臨場感を出して、観客を盛り上げていました。まさに古き良き時代です。

 その後、フィルムに音がつけられるようになり、俳優たちが話す声や音楽が、映画館内に聞こえてくるようになりました。そのため、映画のセリフに合わせて字幕を出す必要が出てきました。これが、今皆さんが映画館やビデオで観ている字幕の始まりです。

 この流れはサイレント映画時代の人々に大打撃を与えました。チャールズ・チャップリンが「モダン・タイムス《の中でトーキーに反対して、どこの国の言葉でもない歌を歌ったというのは有吊な話ですが、日本でも弁士の人々が反対運動を起こすなど、当時としては受け入れがたいほど革命的な技術であり、また映画の歴史上大きな転機になる出来事でした。

 日本で最初に字幕がつけられた洋画は「モロッコ《だといわれています。これは太平洋戦争前の話ですから、いかに古いかがおわかりでしょう。皆さんが映画字幕と聞いて想像するあの字体はもう60年も同じような雰囲気を保っているのです。

 現在では、この方式(“タイプ方式”などと呼ばれています)の他にもいくつかの字幕方式が開発されており、弊社もタイプ方式から最新のレーザー方式まで、各システムを備えております。

 海外に目を向けると、(その国にとっての)外国映画を公開するときには吹き替えにするのが一般的だそうですが、なぜか日本では字幕を読みながらオリジナルの音声を楽しむというのが通常の形式で、吹き替えは低年齢層をターゲットにする場合のみのようです。

 皆さんは、テレビで日本語吹き替えの洋画を見ている時に、音声を切り替えてオリジナルの音にしたときに、俳優さんと吹き替えの声優さんの声があまりに違うことに愕然としたことがあるかと思います。海外の観客の方々も、普段吹き替えの声に慣れ親しんでいる俳優さんの本当の声を聞いたら、さぞびっくりすることでしょう。

 やっぱり映画は俳優さんがしゃべっている言葉が分からなくても、本物の声を聞きたいものです。

 日本人は、海外ではあまり受け入れられていない“映画字幕”に慣れ親しんで映画を楽しんできました。
 これからもそれが大きく変わることはないでしょう。

日本人と映画字幕は切っても切れない関係にあるのです。

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