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<0.フィルムの輸入通関>
フィルムを通関せずに字幕作業に入ることも時にはありますが(=“保税作業”と呼ばれています)、先ずは輸入通関をしなくてはなりません。

<1. ハコ割り>
 フィルムが日本に到着して通関手続が完了すると、いよいよ字幕作業に移ります。
字幕作業は、まず最初に翻訳者が映画を見るところからスタートします。
この最初の試写で翻訳者は全体のストーリーを確認すると共に、各登場人物のキャラクターなどを確認していきます。(多分そうだと思います。このあたりは、後日
翻訳者へのインタビューを敢行してみたいと思います。)
とは言うものの、翻訳者はただ映画に見入っていればいいというわけではありません。
翻訳者はこの試写を見ながら、台本のセリフに区切り(ハコ割り)を入れていきます。
そして、ここで区切られたセリフの一つ一つが、各々の字幕としてスクリーン上に映し出されるわけです。
(試写後、区切られたセリフに頭からタイトル番号(セリフ番号)を振っていくとハコ割り作業が完了となります。)
<2. スポッティング>
 フィルム及び“ハコ割り”が済んだ台本が揃うと、シネアーツ社でのスポッティング作業に移ります。
“スポッティング”とは、「ハコ割りされた各セリフがフィルム上の何コマ目から始まって何コマ目で終わるのか《を測って表を作成する作業をいいます。
翻訳者はこの表を参考にして、翻訳文字数を割り出したうえで、字幕用原稿を仕上げていきます。
たとえばこの表で4フィート8コマの長さがあれば、“これは3秒間表示されるから12文字以内で翻訳すればいいな”といった具合です。
最近の劇場用映画には、アナログ、デジタルとさまざまな“音”(または、音用のタイミングデータ)が記録されていますが(最も多いもので計4方式!)、いずれの“音”もフィルム上にはカセットテープなどのような磁気ではなく光学的に記録されています。
このうちタイプ方式のスポッティングに用いられるのはアナログトラックです。
ここに上から光をあてて下で受けると、帯の幅に応じて光の量が変化するために音が再生できる、という仕組みになっています。(アナログレコードの仕組みと似ています。)
また、このスポッティング作業の際にはフィルムの上に直接、油性の色鉛筆(ダーマト)で各字幕の打ち込み始めと終了の位置をマーキングしておきます。
このマーキングを頼りに字幕の打ち込み作業がされますので、もし間違った位置にマーキングをしてしまうと後々大変なことになってしまいます。
慎重さが要求される作業です。
<3. 翻訳>
スポッティングリストと、台本を翻訳者さんに渡して翻訳原稿を作成してもらいます。 この作業は、専門家におまかせします。
<4.タイトルカード作成>
翻訳原稿が仕上がると、続いてタイトルカードの作成に移ります。
タイトルカードは「九段工房《で一枚一枚丁寧に手書きされます。
慣れたライターさんですと一日に200~300枚程度のスピードで
書き上げていきます。
<5.カード校正>
タイトルカードは手書きで作成されていますので、どんなに細心の注意を払っていたとしても、書き間違いが生じる可能性があります。
もし間違ったカードでこれ以降の作業を進めて、フィルムに字幕を打ち込んでしまうと元に戻すことはできません。
ですから、このカード校正という作業は非常に重要です。
<6.製版>
 タイトルカードの訂正作業も無事終了すると、これらのタイトルカードは製版セクションへと
まわされます。
ここで実際にフィルムに打ち込むための“ハンコ”が亜鉛板(若しくは銅板)から作られるのです。
タイトルカード上では一文字あたり1センチ角程度ですが、この版では一文字あたり0.8mm 角 程度に縮小されています。
なにせこの版で実際にフィルムに字幕を打ち込むわけですから、この版の文字が欠けてしまっていたりすると大変です。
そのため、これらの版は全量顕微鏡で検査され、次の字幕打ち込みセクションへとまわされます。

<7.フィルムへの字幕打ち込み作業>
 字幕打ち込み位置がマーキングされたフィルムと字幕の版がそろえば、いよいよ字幕の打ち込み作業となります。
この段階では実際に音を確認しながら作業するわけではありませんので、マーキングを頼りに字幕の打ち込みを進めていくことになります。
予めフィルムの乳剤面に薬品を塗布して色素層を軟らかくし、また版は一定の熱をかけておきます。オペレーターは版を確認して、字幕文字数が多ければ強めに、少なければ弱めにと圧力の微調整をしながら字幕を正確な位置に打ち込んでいきます。
間違えたら消しゴムで消して打ち直し、というわけにはいきませんので集中力が必要です。このあたりの作業は、職人芸といった感じです。
<8.フィルムのクリーニング>
字幕を打ち込むためにフィルム上につけたマークを丁寧に消します。
そしてフィルムをきちんと巻き上げれば作業は完了です。
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